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ゆきとかぜとうみ

何かもそもそ書いてます。☆感謝。

Ms. Chocolate Cake

つらつら

「誕生日、チョコレートケーキしか食べたことないんですよね、」

その年の秋、こげ茶色のカラコンが可愛い彼女は、クリスマスケーキのカタログをぱらぱらと手繰りながら微笑んだ。

「どうして?」

私が聞くと、彼女は微笑んだ口元を崩さず、目線だけをこちらに返しながらこう答えた。

「私、誕生日がバレンタインデーの前日なんです。
その辺りって、チョコ系のお菓子ばっかりじゃないですか。
どれも美味しそうに見えるから、つい」

彼女は再びカタログに目を落とし、

「生クリームのケーキも美味しそうですね、
結局チョコ系買っちゃうんですけどね、ふふ」

と言って、口角をほんの少し上げた。
あの年のクリスマスは、結局何を買ったんだっけな。
今はもう思い出せない。


彼女が、遠い遠いところに旅立ってから2年と少し。
そういえば前回もその前も、彼女のお宅に持って行ったのはチョコレートのお菓子だったことに氣が付いた。
全く無意識に選んでいたことが自分でもおかしくて、
「何だ、やっぱり好きだったんだ」
と思い出の中の彼女につぶやく。


今日は、旅立つ前のあのこの誕生日。